「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)」を考えている妊婦さんへ
日本医学会が認定する医療機関でのNIPT受検のお願い

 母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)を受けようと考えている妊婦さんは、遺伝カウンセリングと検査後に適切な診療が受けられるように日本医学会で施設認定を受けている医療機関において検査を受けられることをお勧めいたします。

  平成25年3月9日に日本産科婦人科学会が「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査指針」を公表し、それを受け、平成25年3月13日に厚生労働省母子保健課課長から、「『母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査』の指針等について(依頼)」(雇児発母0313第2号)が通知されました。これは妊婦さんが検査やそれに関連することを正しく理解して自分の意思で検査を受け、検査を受けることによって不利益を被ることがないようにするためです。その通知の中では、「(前略)検査前後における専門家による十分な遺伝カウンセリングにより、検査を受ける妊婦やその家族等に検査の意義や限界などについて正確に理解していただくことが必要である」とし、「検査対象者については、(中略)一定の要件を定めることが必要である」、「そのためには、学会関係者に限らず、検査に関わる全ての学術団体、医学研究機関、医療機関、臨床検査会社、遺伝子解析施設、遺伝子解析の仲介会社、健康関連企業等の皆様にも、学会指針を尊重して御対応いただくことが必要と考えている」と記載されています。

  平成25年4月からこの指針および通知に従ってNIPTが実施され、適切な遺伝カウンセリングの下で妊婦さんの自律的な意思に基づいて検査が行われています。そのような中、平成28年後半からごく一部の医療機関が指針と通知を無視して日本医学会の認定を受けずに検査の提供を始めました。遺伝カウンセリングを行わず、検体を英国の検査会社に送ってNIPTを実施しています。検査で染色体疾患が疑われても適切な情報提供や遺伝カウンセリングを行うことなく、別機関への受診を促すだけで、妊婦さんやその家族がどうしていいかわからず混乱するという事態を起こしています。このような状況を我々は大変憂慮しており、日本産科婦人科学会からもその医療機関の医師に対して指導が行われておりますが、現在、指針や通知を遵守しなくても法的制裁を受けないため、改善の兆しがありません。そこで、妊婦さんがそのような不利益をうけることがないように、NIPTを提供する医療機関についても知っていただきたいと思います。

 NIPTなどの出生前検査を安易に受検することが母児に対して悪影響を及ぼすことは数多く報告されています。また、検査を受けるかどうかを自分自身で考え、自ら意思決定するためには、検査前に検査で分かることと分からないこと、陽性と判定された場合の影響など、検査の特色について十分に知る必要があります。さらに、結果が陰性であっても出生前検査を行ったこと自体を後悔することがあること、検査結果をもとに行われる判断がその後のお母さんの抑うつ傾向につながる場合があることなど、心理的な負担になることも広く知られています。NIPTコンソーシアムの行った7,740人を対象にしたアンケート調査によると、検査前に遺伝カウンセリングを受けることで「子どもを持つということについて改めて考える機会になった」と90%の妊婦さんが、また、「遺伝カウンセリングは必要である」と91%の妊婦さんが回答されています。

  NIPTなどの出生前検査は、適切な遺伝カウンセリングと心理的なケアを含めた継続的なサポートが保証される医療機関で実施されることが求められます。また、本検査が倫理的に配慮されるべき課題を有することから社会的なコンセンサスを得ながら取り組むことも求められています。そこで、NIPTを受けることを考える妊婦さんにおかれましては、これらのことを十分にご理解いただき、まずかかりつけの産科医療機関の医師に相談していただいた上で、日本医学会で施設認定を受けている医療機関において、遺伝カウンセリングを受けた上で検査を受けるかどうか決めてくださいますよう、お勧めいたします。

以上

平成29年8月26日

NIPTコンソーシアム一同
代 表 左合 治彦
事務局 関沢 明彦

■公益社団法人日本産科婦人科学会の「NIPTに関する声明」
「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)」についての声明 
      公益社団法人日本産科婦人科学会:理事長 藤井 知行

 

母体血胎児染色体検査(NIPT)について
:無認可施設で検査が実施されている現状を踏まえて

 NIPTは胎児の染色体異常を検査する方法であり、倫理的な、また社会的な問題点を包含することから2013年、公益財団法人日本産科婦人科学会では、日本医学会、日本医師会、日本人類遺伝学会、日本産婦人科医会、日本小児科学会などと委員会を作って協議し、また、公開シンポジウムやパブリックオピニオンの聴取を行うなど、集中的な検討を行いました。
その上で、母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針http://jams.med.or.jp/rinshobukai_ghs/guideline.pdf;2013)を発出することで、検査前に十分な遺伝カウンセリングを提供でき、かつ、妊婦がどのような選択をした場合にもその選択を支援できる体制を整備した施設を認定することとなりました。また、検査対象は児の染色体疾患の可能性が上昇している妊婦となっています。
  この日本産科婦人科学会が示した指針は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長が発出する通知「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」の指針等について(周知依頼) http://jams.med.or.jp/rinshobukai_ghs/well-known.pdfにより、その周知・徹底が求められています。
  このような中で、NIPTは2013年4月から臨床研究として実施され、すでに4万件を超える検査が実施されております。NIPTコンソーシアムのアンケート調査の結果、80%を超える妊婦さんがこの検査前に行われる遺伝カウンセリングを通じて、「子どもを産むことについて改めて考える機会になった」、「この検査前にはカウンセリングを受けてよかった」との意見を表明しており、現状の学会が提示する検査体制が機能していると考えています。
  しかしながら、2016年ころから、上記の施設認定を受けない医療機関がネット広告をだし、遺伝カウンセリングなしに検査を実施している状況が発生しています。日本産科婦人科学会はこの施設の医師に対して処分をしていますが、改善がなされない状況が続いています。NIPTコンソーシアムとしては、今後も、日本産科婦人科学会の指針に従って検査を実施していきますが、この検査を検討されている妊婦さんにおかれましても、検査の特徴や限界などをよく知った上で、よく考えて検査を受けるかどうかを決めていただきたいと考えており、その支援として、NIPTコンソーシアム加盟施設は遺伝カウンセリングを実施しています。
検査について希望のある妊婦さんは、施設認定を受けた施設(「臨床研究施設」について http://jams.med.or.jp/rinshobukai_ghs/facilities.html)で検査を受けていただくようにお願いいたします。
無認定施設と認定施設の検査体制や検査料金についての比較は、以下のサイトをご参照ください。
https://authorizednipt.jimdo.com/
                            (平成29年5月24日作成;文責 関沢明彦)

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NIPTとは?

無侵襲的出生前遺伝学的検査(Noninvasive prenatal genetic testing)の略です。
母体血を利用して赤ちゃんの遺伝学的検査を行う方法を言います。
2011年、米国で母体血を用いた赤ちゃんの染色体検査(母体血胎児染色体検査)が臨床検査として利用可能になっています。
日本では、日本産科婦人科学会の指針により臨床研究として認定された施設で実施されます。

              

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